中津市立中津市民病院医療関係者へ初期臨床研修③多クローン性集団の意義

医療関係者

③多クローン性集団の意義

多クローン性集団の意義

院長 是永大輔


 中津市民病院は、大分県のがん診療連携拠点病院・災害拠点病院であるとともに小児救急センターや地域周産期母子医療センターが併設されています。各分野の指導医が連携して安心・安全な治療を行っています。小児・周産期の救急医療体制も整備されていますので、臨床能力の高い若手医師の育成に適した教育環境であり、指導医が研修医のやる気を上手に育てながら、彼等の資質を理解して、進むべき道を間違わせないよう後押ししています。当院(基幹型臨床研修病院:定員4名)では、大学(国立・私立)や性別を問わず、優秀でやる気のある学生さんを求めており、しかも採用した研修医のなかには女性が含まれることが多く、極めて多クローン性の集団であることが特徴です。
 2年間の初期研修は、数カ月毎に指導医や職場スタッフが変わる不規則なローテーションのため、決められたプログラムをこなすのに精いっぱいで、心身に不調が生じる人もいます。また、当初は余裕のなかった彼等も、ある程度業務に慣れてくると、目的を忘れて自己満足を追求する生活に陥りやすくなります。このような時にこそ、仲間同志がコミュニケーションを図り、相互連携を深めていくことが重要となります。当院のように多クローン性の集団では、それがお互いに絶妙な連携をもたらし、研修医間の絆を一層確かなものにしているように感じています。
 病院には、医師、看護師、コメディカル、事務系など多くの職種があり、現場では人間模様が複雑に絡みあいながら協働しています。そのため、機能的な組織造りのためには、各職域に壁を作らず、隙間のないように、境界領域の仕事を補うという土壌を養うことが重要なポイントとなります。当院を巣立っていく研修医諸君には、自らの体験の中からチーム医療の重要性と組織力の強さを感じ取り、その後の医療に役立ててほしいと願っています。

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