中津市立中津市民病院医療関係者へ初期臨床研修⑦研修医とのコミュニケーション

医療関係者

⑦研修医とのコミュニケーション

研修医とのコミュニケーション

院長 是永大輔


 春に社会人となり、研修修行真っ只中の娘に久しぶりに会ったときのこと。学生時代と環境が変わって新人研修でしごかれる毎日で、グッタリと元気がありません。出てくる言葉は、「大変だよ・・・」「毎日が憂うつ・・・」「仕事に向いていないかも・・・」等々。「誰もが通ってきた道、半年もすれば、慣れるから・・・。」と慰めたつもりが、かえって沈んでしまいました。
 当院でも研修医が新しい職場で希望に胸を膨らませて勤務を始めています。人の生死と向き合いながら昼夜を問わず仕事が舞い込んでくるため、他の職種以上に多くのストレスを抱えているといってもよいでしょう。
 研修医のメンタルヘルスが社会的問題となっています。新制度では、新社会人となってまだ余裕のない研修医が、内科や外科、救急・麻酔科、産婦人科、小児科、精神科、地域医療など、将来の専攻とは異なる複数の診療科を2年間かけてローテートします。数カ月ごとに指導医や職場スタッフが変わるので、気軽にものも言えず、決められたプログラムをこなすのに精いっぱいで、心身の不調も見落とされやすい状況にあるといっても過言ではありません。 これらの状況を考慮して、当院では医局や診療科別の親睦会が頻繁に催されており、病院全体で研修医が精神的・身体的に安心して勤務できる環境作りに心がけています。これらの交流を介して研修医のメンタルな面を含めた健康管理、意思疎通を図っていくとともに、研修医の思いや要望を組み入れたカリキュラムづくりに努めていきたいと考えています。

 医師というハードな職業を選んだ若い研修医諸君。ストレスとやりがいは表裏一体です。指導医、患者様、コメディカルなど多くの人に面することはストレスになりますが、医師という仕事のやりがいでもあります。皆さんの周りには、気易く、そして輝くような表情で語りかけてくれる指導医がたくさんいます。守りに入らずに、悩む前に是非相談してください。夢と希望をもって仕事を楽しむコツを覚えること。それが初期研修の大きな目標でもあり、一番の自己メンタルへルスケアになるのですから。

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