平成29年第2回定例市議会の行政報告

公開日 2017年06月01日

 平成29年第2回定例市議会の開会にあたり、諸般の行政報告等を申し上げます。
 本年3月、中津市の将来のまちづくりに向けた施策の方針とその礎となる安定的な財政運営についての計画、「なかつ安心・元気・未来プラン2017」、「中津市行政サービス高度化プラン」、「中津市公共施設管理プラン」の3つのプランを策定いたしました。これらのプランにおいては、持続可能な財政基盤のもと、それぞれの暮らしのライフステージに応じた安心づくり・元気づくり・未来づくりのための政策を展開していくことで、中津市で暮らす人の満足を高めていくという基本方針を示しております。また、各政策分野においても、この方針に沿った具体的な計画がスタートしております。今年度を“「暮らし満足No.1のまち中津」創生元年”と位置付け、市民の皆様との連携・協力により、着実に計画の実行を進めてまいります。
 次に、危機管理への対応についてです。発生から1年が経過する熊本地震での教訓を踏まえ、年度替わりの新体制においても迅速に災害対応を行うため、4月に第1回目の中津市災害対策本部会議、5月には職員初動訓練を実施いたしました。日時を知らせず休日に実施した初動訓練では、職員の安否や参集確認のほか、実際に避難所の開設や災害対策本部会議の開催も行い、突発的な災害に備えた実践的な訓練を行ったところです。同様に、県の総合防災訓練も時季を前倒しして実施され、被害への対応、県との連絡調整等の演習を行いました。消防体制においては、大分県内で初となる、大型水槽と本格的な救助資機材を装備した「救助対応型水槽付消防ポンプ自動車」を消防署東部出張所に配備いたしました。これにより、東部地域における火災時の対応強化や東九州道での事故対応など、幅広い災害現場での迅速な消防活動が可能となりました。
 また、災害情報伝達手段の充実のため、気象情報、河川監視カメラ映像など中津市の防災に関する情報を一つにまとめた防災ポータルサイトを構築いたしました。このサイトから提供される情報は、スマートフォンやタブレット端末から手軽に見ることができ、中津市ケーブルテレビの自主放送チャンネルにおいてもデータ放送により配信するなど、各種ネットワークを活用した多様な情報発信に努めています。
 さらに、先般、他市の認定子ども園において子どもが襲われ負傷する事件が発生したことを受け、市内児童クラブなどの職員を対象とした緊急の防犯研修会を開催いたしました。研修では、中津警察署の協力のもと、不審者が侵入した際の対応や日ごろの備え、護身用具の使い方の訓練などを行いました。今後も、市民の皆様の安全・安心を第一として、想定されるあらゆる危機への対応を進めてまいります。
 次に、高齢者福祉についてです。昨年度から、見守り事業として、介護サービス等の利用がなく外部との関わりが少ないすべての一人暮らし高齢者を個別に訪問するという先進的できめ細かな支援を行っており、2年目となる今年度は対象年齢を65歳以上に広げて取り組んでいます。今後も、高齢者が一人暮らしとなっても安心して暮らせる「孤立ゼロ」の社会を目指して、民生委員をはじめとした地域住民、郵便局や金融機関の民間事業者など、様々な主体とも連携しながら、持続可能な事業展開を検討してまいります。
 また、平成26年度より建設を進めておりました「養護老人ホーム中津市豊寿園」の完成に伴い、4月28日、関係者列席のもと竣工式を行いました。バリアフリー化やプライバシーの確保などサービス面の充実に配慮し、入所者が生活しやすい施設となっております。5月13日には、入所される方々の引っ越しも完了し、新しい環境での生活が始まっております。
次に、障がい者福祉についてです。これまで教育福祉センター内にて実施しておりました福祉相談室を再編し、県内初となる「障がい者等基幹相談支援センター」を4月1日から設置いたしました。センターでは、より専門的で利用しやすく、スピーディーな相談窓口として、日常生活や就労、家族関係など、障がいに関して多岐にわたる不安や困りごとへの専門的支援を行うとともに、24時間対応の虐待通報電話の設置や地域の事業所に対する後方支援などもあわせて行います。障がいのある方が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、地域の中核的な支援センターとして関係機関と連携し、相談支援体制の充実を図ってまいります。
 次に、子ども・子育て支援についてです。乳幼児を抱える子育て中の保護者からのニーズを踏まえ、外出先でのおむつ替えや授乳などの際に無料で利用できる「赤ちゃんの駅」の登録施設を募集し、本日より事業を開始いたしました。登録いただいた施設には専用ステッカーを貼り、利用者に分かりやすく表示するとともに、子育て世帯へ広く情報提供を行います。公共施設はもとより、今後は民間商業施設等の登録もさらに拡大していくことで、子育て世帯にやさしい環境づくりと、地域全体で子育てを支援する機運の醸成を進めてまいります。
 次に、観光の振興についてです。中津市・玖珠町の共同申請による「やばけい遊覧―大地に描いた山水絵巻の道をゆく」という、景勝地・耶馬渓の歴史や文化を語るストーリーが文化庁より日本遺産に認定されました。このストーリーは、耶馬渓をひとつの巨大な山水絵巻ととらえ、訪れる方々が絵巻の中に入りこみ、遊覧の旅を楽しんでもらおうという内容で、これまで進めてきた山国川上下流域一体となった観光振興の大きな後押しとなるとともに、インバウンド誘客にもつながるものと期待しております。さらに、中津市の中津城と玖珠町の角牟礼城は、日本城郭協会が4月6日の「城の日」にあわせて発表した「続 日本100名城」に選定され、両城下町も含めた日本遺産ストーリーのPRに追い風となっております。また、平成24年7月の九州北部豪雨で被災した馬溪橋の修復工事が終盤を迎え、6月末には山国川に再び美しい石橋のアーチが姿を現す予定となっており、こちらも日本遺産のストーリーを構成する観光資源のひとつとして活用してまいります。
 さらに、体験型観光資源のひとつであるサイクリングについて、大分県道路交通法施行細則の一部改正により、大分県内でタンデム自転車の公道走行が解禁されたことを受け、4月5日、県内初となる公道での走行会が開催されました。ユニバーサルポタリング大会実行委員会主催により、障がい者の方や市議会議員の皆様はじめ多くの方が、二人乗りのタンデム自転車でのサイクリングを楽しみました。今後は、自転車に乗ることが困難な方や家族連れ、カップルでの利用などにも、広範囲に爽快なサイクリングを楽しんでいただけるよう努めてまいります。
また、道の駅なかつが平成26年4月の開所から3周年を迎え、多くの皆様のご愛顧をいただき、九州内でも来場者の多い道の駅のひとつとなっております。5月のゴールデンウィークには、レストランや直売所において過去最高の売上日を記録するなど、好調な営業を続けております。今後もリピーターを増やし、中津の誘客拠点のひとつとして多くの方に利用いただける施設を目指してまいります。
 5月13日には、日本最大級のクルーズ船「飛鳥II」が8年ぶりに中津港に寄港いたしました。当日は歓迎セレモニーや物産展、地元高校生によるパフォーマンス等により、クルーズ船で訪れた観光客をおもてなしし、中津市だけでなく周辺自治体と共に魅力発信を行いました。全国、また世界に中津市を知っていただく好機ととらえ、今後も引き続き、クルーズ船の誘致に努めてまいります。
 次に、企業誘致についてです。2月24日に株式会社 耶馬渓製作所から増設にともなう立地表明があり、新規雇用者数は2名ながらも設備投資額は約3億円が見込まれております。これにより平成28年度の市内への立地企業数は15件と過去最高の立地件数となり、県下市町村でも最多の実績となりました。このような新たな企業進出や企業規模の拡大は、雇用創出効果や設備投資による経済波及効果が大きく、地域経済の活性化につながるものであり、今後も大分県と連携して積極的に企業誘致に努めてまいります。一方で、従来から指摘されておりますように、進出や増設を希望する企業のニーズに対応できる用地が少ないことから、将来を見据えた効果的な企業誘致を推進するため、今後、工業用地を確保し整備していく必要があると考えております。
 次に、高付加価値化の取り組みについてです。「なかつ6次産業推奨品(なかつファイブスターストーリー)」に新たに「山椿あま酒(もち)」が認証され、これにより計4事業者、7商品が「なかつブランド」の推奨品となりました。今回認証された推奨品は、地元商店での販売のほか、関東方面へも販路が拡大されており、ブランド認証として成果がみられています。今後も地域食材等を活かした特色ある商品開発を行うとともに、高付加価値化の取り組みを進めてまいります。
 次に、移住促進の取り組みについてです。本人も移住者である映像作家を中心として、「あたらしい暮らしがあるらしい」というタイトルの移住PR動画を制作いたしました。実際の移住者が、移住の経緯や地域での暮らしなど、テーマごとに語り合う内容となっており、地元の方たちに移住者のことを知っていただく機会にもなると考えております。こうした取り組みを通して、今後も、地域と一緒になった移住・定住の促進に取り組んでまいります。
 次に、文化・芸術の振興についてです。平成30年度に実施される「第33回国民文化祭・おおいた2018」「第18回全国障害者芸術・文化祭おおいた大会」に向けて、4月24日、中津市実行委員会の設立総会及び第1回総会を開催し、事業計画と予算案について承認をいただきました。「おおいた大茶会」という大会テーマのもと、中津市と日田市、玖珠町、九重町からなるブロックにおいては、「水の森」をテーマとした芸術文化事業を計画しております。この大会が、年齢や障がいの有無にかかわらず誰もが参加し楽しむことができるよう準備を進めるとともに、大会を通じて地域の元気づくりにもつながることを期待しております。
 また、教育について、首長と教育委員会の両者が教育政策の方向性を共有し、一致して執行に当たることなどを目的とした「中津市総合教育会議」を3月29日に開催いたしました。今回の会議では、第五次中津市総合計画との整合性を図るため「中津市教育大綱」の一部改訂について協議・調整を行い、承認されました。今後も、教育委員会と十分な意思疎通を図り、地域の教育の課題やあるべき姿を共有することで、子どもの可能性を拡げる教育行政を推進してまいります。
 また、昨年12月には「なかつ100km徒歩の旅」実行委員会の活動が、内閣府の「チャイルド・ユースサポート章」を受章いたしました。この活動は、中津市街から山国町まで、往復100kmの行程を5日間にわたって宿泊しながら歩き通す活動で、中津青年会議所OBの方々が実行委員会の中心となって参加する小学生をサポートしております。小学生の時に参加した子どもが学生スタッフや社会人スタッフとして活動に関わるという好循環も起こっております。今回の受章は、このような未来を担う子ども達の「生きる力」を育む取り組みが、子ども・若者の育成支援の優良事例として評価された結果であり、大変喜ばしいことであります。今後も、このような様々な団体との連携も図りながら、「学びたい教育のまち」の実現を目指してまいります。
 次に、自治体間の連携についてです。4月21日、九州周防灘地域定住自立圏を構成する各自治体の関係者出席のもとビジョン懇談会を開催し、各地域の課題や今後の取り組みなどについて意見をいただきました。今後も、中心市として市町村や県の枠組みを超えた取り組みを積極的に進め、圏域全体の発展に努めてまいります。このほかにも、今後は、玖珠町との日本遺産を活用したPR、大分県と連携したサイクルツーリズムやインバウンド観光なども進めてまいります。
 以上をもちまして、諸般の行政報告を終わります。議員の皆様方におかれましては、今後ともご指導ご協力いただきますようお願い申し上げます。

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