平成29年第3回定例市議会の行政報告

公開日 2017年09月01日

 平成29年第3回定例市議会の開会にあたり、諸般の行政報告等を申し上げます。
 まず、7月の九州北部豪雨により被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げますとともに、復旧作業等にご支援、ご尽力をいただいております多くの皆様に対しまして、この場をお借りしまして厚く御礼を申し上げます。
 今回の豪雨は、平成24年の九州北部豪雨と同様に、積乱雲が次々と帯状に発生する「線状降水帯」によるもので、山国、耶馬溪地域を中心に多くの被害が発生いたしました。しかし、幸いにも市内において人的被害が発生しなかったことは、避難勧告や避難指示の発令に対して、住民の皆様が迅速な避難行動を取っていただいた結果であり、改めて人命を第一に考えた判断と避難誘導の重要性を認識させられたところです。また、避難所においては保健師による避難者の健康チェックや健康相談を実施したほか、7月18日、19日には被災者宅の戸別訪問を県の北部保健所の保健師と連携して行うなど、避難者や被災者の心身のケアにも努めました。
 復旧の初期段階におきましては、多くのボランティアの方々に、浸水被害に遭った個人住宅の復旧作業や、水路の土砂撤去作業などにあたっていただきました。道路交通網の復旧については、大分県による迅速な対応により、国道212号は7月24日に、国道496号は7月31日に全面通行止めが解除され、早期にライフラインを回復することができました。
 市におきましても、被災地域の住民の方々の生活基盤の回復を最優先として、被災箇所の早期復旧、災害援護資金や災害被災者住宅再建支援金の支給など、予備費や補正予算による迅速な対応に加え、本庁から支所への技術職員の応援や、県からの技術職員の派遣により、人員体制も強化しております。併せて、国・県に対しては、被災住民の安全確保と生活再建、農林水産業・商工観光業復興への財政支援、リダンダンシーを確保するための中津日田道路の整備促進について強く要望しており、安倍総理大臣、高市総務大臣、小此木防災担当大臣などの来県時には、直接、要望を行ったところです。引き続き、関係機関とも連携して被災地域の一日も早い復旧・復興に向けて全力で取り組んでまいります。
 一方で、豪雨災害前の6月前半には、少雨が続き耶馬溪ダムの貯水率が低下するなど渇水被害も懸念されたほか、6月4日には耶馬溪町で山林火災が発生し、大分県や自衛隊への応援も要請し消火活動にあたりました。今後も、想定されるあらゆる災害等に対して、住民の生命と生活を守ることを第一に考え迅速に対応してまいります。
 次に、消費者教育についてです。5月に大分県内で高齢者が現金をだまし取られる詐欺被害が連続して発生し、市内においても被害が出ました。市では中津警察署と連携し、被害の未然防止活動、情報提供、学習啓発活動などを積極的に行っており、今年度は特殊詐欺等の消費生活に関する市民講座や出前講座をこれまでに13回実施しております。今後も引き続き消費者教育を推進し、市民の大切な財産を詐欺被害等から守るための啓発を行ってまいります。
 次に、子育て支援につきまして、市内では初となる小規模保育事業を実施する保育施設を認可し、市内万田において本日より運営を開始いたしました。利用定員は12名で、0歳から2歳の児童を受け入れます。また、小学校の夏休み期間限定で実施した市直営の児童クラブでは、豊田幼稚園内、旧如水公民館、県総合庁舎第2庁舎の3ヶ所で、計127名の児童を受け入れました。今後も、共働きなどの子育て世帯を支援することで、通年での待機児童ゼロ、一歩進んだ子育て環境のまちづくりを進めてまいります。
 次に、地域福祉についてです。地域コミュニティでの活動が活発な今津校区におきまして、地域住民のちょっとした困りごとを同じ地域の住民が支援する住民型有償サービス「今津 支え合いサービス すみれ」が発足いたしました。誰もが地域社会の中で安心して暮らし続けるため、地域住民同士の支え合い、助け合いのまちづくりは不可欠であり、この活動が市内すべての地域に広まるよう行政としても積極的に支援してまいります。
 次に、地域おこし協力隊につきまして、7月より新たに2名を採用し、各支所3名、計12名体制となりました。新規採用の2名は、耶馬トピア内でのカフェの運営や、SNS等による外部に向けたイベント・観光資源の情報発信などを行っていきます。また、7月末には耶馬溪支所にて約2年間活動してきた隊員1名が退職し、かねてより希望していた農林業に従事しながら、地域への定住第1号となりました。今後も、隊員により中津の魅力をさらに市内外へと発信し、地域の方々と一緒に地域を盛り立てるとともに、定住にもつながる取り組みを進めてまいります。
 また、集落機能の維持及び定住促進による地域の活性化を図ることを目的として、今年度から「中山間地域創業支援事業補助金」の制度を開始しております。これは、中山間地域に移住・定住し、同地域内で創業する方を対象に、創業に要する初期経費を助成する制度で、第1号として、耶馬溪地域において飲食業・雑貨販売を行う事業者に対して支援を行いました。ここでは音楽イベントやワークショップ等も行われており、地域住民と移住者とのネットワーク形成にも期待しております。
 また、8月8日に中津自動車学校と移住促進の連携に関する協定を締結いたしました。この協定は、自動車学校が行う合宿免許講習を受講する市外の若者を対象に、中津の魅力を伝えることで移住促進につなげようとするもので、九州では初の取り組みとなります。今後も、様々な機会を通じて中津での暮らしの魅力を発信し、移住促進を図ってまいります。
 次に、観光振興についてです。7月1日、2日に「日本遺産サミットin京都」が開催されました。玖珠町と共同で「やばけい遊覧」のブースを出展し、PRステージでは中津・耶馬渓、玖珠の魅力の紹介を行いました。また、来場者アンケート調査を実施し、旅行業者との商談会へ参加するなど、積極的に耶馬渓観光のプロモーションを行いました。一方で、豪雨災害が報道等でクローズアップされたことにより、被害の全くない主要観光宿泊地にもキャンセルが出るなど、風評被害による観光客の落ち込みも懸念されております。こうした状況に早急に対応するため、観光協会や商工会議所と連携し、SNSによる元気な中津市の発信を行うほか、大分県と連携した広島・福岡でのプロモーション活動にも参加いたしました。これからの秋の行楽シーズンに向けて、引き続き誘客促進を図ってまいります。
 また、7月から8月にかけまして、中津祇園、寺町とうろう祭り、やまくにGenryu夏まつり、耶馬溪湖畔祭り、禅海くんのミニ縁日、鶴市花傘鉾祭など、市内各所で多くのお祭りや地域イベントが開催され、多くの人でにぎわいました。こうした地域のイベントに、より多くの市民に参加いただき交流を深めることを目的として、昨年度に引き続き中津駅と支所間で相互に、イベント会場への無料送迎バスを運行いたしました。今後も、山国川上下流域の相互交流と一体感の醸成を進めるとともに、市民との連携を図りながら地域伝統文化の継承、にぎわいや元気づくりを支援してまいります。
 さらに、増加傾向にある外国人観光客の受入体制を強化することを目的として、韓国の国際交流員による韓国語おもてなし講座を5月より開催しております。市内の観光関係事業者を対象に、本耶馬渓と耶馬溪の2会場で各6回の講座を開催予定であり、韓国の文化や習慣、韓国語でのあいさつや接客時のコミュニケーションなどについて学ぶ機会を提供しております。これにより、外国人観光客受入の機運醸成や、訪れた方の満足度を高め、今後の外国人誘客につなげてまいります。
 次に、産業振興と人材確保についてです。7月25日に大分県庁において、株式会社 渡辺製作所の立地表明が行われました。今回が進出以来5回目の増設となり、設備投資額は約1億8千万円、増設に伴う新規雇用者数は20名となっています。このように、企業の増設も地域活性化につながるものであり、今後も大分県と連携して積極的に誘致活動に努めてまいります。
 また、地場中小企業の人材確保支援を目的として、8月11日にダイハツ九州アリーナにおいて「中津市企業合同就職面接会」を開催いたしました。「人材不足に直面する市内企業」と「大学進学等で市外・県外に転出した大卒予定者やUIJターンなどの就職希望者」とのマッチングの場となり、製造業、情報通信業、農業など様々な業種から36社の企業と、69人の求職者が参加しました。今後も、地元企業のニーズに応じた人材不足解消と技術力向上等を支援し、中小企業活性化と地域雇用の安定につなげてまいります。
 次に、商店街の活性化についてです。8月5日に日ノ出町商店街において「あきんど夜市」が開催されました。これは、市と県の連携支援事業である「がんばる商店街支援事業補助金」を活用したもので、約20年ぶりに復活した夜市では、多くの家族連れなどでにぎわいました。店舗協同での「縁日夜店」や、空き店舗を活用した催し物のほか、中津北高校吹奏楽部、中津東高校マーケティング部など、生徒の協力もいただきました。今後も、地元商店街が主体となった取り組みを支援することにより、商店街と地域の活性化を図ってまいります。
 次に、産業教育の推進についてです。7月16日に日ノ出町商店街、新博多町商店街、中津駅において、まちづくり団体とともに第9回職人フェスティバルを開催いたしました。各企業、商店、各種団体、商店街の皆様方にもご支援をいただき、会場には約80もの職人ブースが用意され、参加した約900人の子どもたちは木工やお菓子作りなどのものづくり体験を楽しみました。また、大分県立工科短期大学校においても、6月に大分県産業創造機構主催による「ものづくり技術展示会in中津」が開催され、中津市近郊の自動車関連企業20社の各展示ブースでは、ものづくりの行程が実物部品やイラスト等で紹介されました。今後もこうしたイベントや職業体験等を通して、子どもたちが地域の産業を身近に感じ職業意識が醸成されるとともに、将来の可能性がさらに拡がっていくことを願っています。
 次に、図書館の充実についてです。小幡記念図書館では、生徒を対象に夏休み期間中、視聴覚室を学習スペースとして開放するとともに、8月の火曜休館日にも午前9時から午後5時までの間、閲覧室等を学習スペースとして開放しました。今後も、市民ニーズに沿った図書館機能の充実と利便性の向上に取り組んでまいります。
 次に、高速交通網の整備促進についてです。7月26日に「中津日田間地域高規格道路促進期成会総会」が開催されました。7月の豪雨災害で国道212号が全面通行止めとなった際に、中津日田道路の一部開通区間がう回路として重要な役割を果たしました。このことを受け、「災害などで既存の道路が寸断されても、『人』『もの』の流れをとめない住民の『暮らし』と『命』に係わる『中津日田間地域高規格道路』を早期に構築すること」との特別アピールを採択したところです。今後も、国、大分県、関係者等へ「中津日田道路」の早期整備と、そのための財源確保に向けた要望活動を積極的に行ってまいります。
 最後に、環境の保全についてです。中津市の特性を踏まえた「暮らし満足No.1」を環境面から進めるため、今年度から環境基本計画の策定に着手しました。多くの意見・提案をいただきながら、市民と行政が一体となって取り組む、実効性のある計画を目指しております。また、市内では民間団体による清掃活動や環境保全活動、環境啓発イベント等も活発に行われております。今後、このような団体・市民との協働により、きれいなまち、快適な生活環境、豊かな自然との共生を未来へと継承していく取り組みを総合的に進めてまいります。
 以上をもちまして、諸般の行政報告等を終わります。議員の皆様方におかれましては、今後ともご指導ご協力いただきますようお願い申し上げます。

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