令和2年第1回定例市議会提出議案説明書

公開日 2020年02月21日

 本日ここに、令和2年第1回定例市議会を開会し、提出しました令和元年度各会計別補正予算及び令和2年度当初予算のほか、諸議案のご審議をお願いするに先立ち、その概要についてご説明申し上げます。

 まず、議第1号令和元年度中津市一般会計第6号補正予算につきましては、2億9,511万円を減額し、補正後の予算総額は427億8,036万4千円となります。
 その主なものとしましては、歳入では、市税は1億6,060万4千円の増額となり、地方消費税交付金は1億8,121万5千円の減額となっています。
 歳出につきましては、国の令和元年度第1号補正予算や追加内示に対応し、小中学校の施設整備費を中心に、約5億8千万円の事業費を令和2年度当初予算から前倒して実施するための予算を計上したほか、定年前早期退職者の増加に伴う退職手当を計上しています。そのほかは、事業費の確定や決算見込みによる減額などであります。
 繰越明許費につきましては、ファシリティマネジメント推進事業費外20件の追加と2件の変更を計上しています。

 議第2号令和元年度中津市国民健康保険事業特別会計第4号補正予算から議第10号令和元年度中津市下水道事業会計第3号補正予算につきましては、事業費の確定や決算見込みによるものが主な内容であります。

 引き続きまして、議第11号令和2年度中津市一般会計予算につきまして、予算編成の基本方針及び施策の概要をご説明申し上げます。

 まず、国の令和2年度当初予算案におきましては、高齢化に伴う医療費の増加や幼児教育・保育の無償化等により、社会保障費が大きく増加するほか、消費税率引き上げと同時に始まったキャッシュレス決済時のポイント還元や、マイナンバーカード保有者へのポイント付与制度の開始など、景気の下支え対策を充実させるため、一般会計で102兆6,580億円と過去最大の規模となっています。
 歳入では、税収は消費税率引き上げの効果もあり、前年度比で1.6%増を確保する見込みとなっており、新規国債発行額は微減となっております。しかしながら、国と地方を合わせた債務残高がGDPの2倍程度にまで膨らみ、今後も増加が見込まれるなど、国の財政は依然として厳しい状況であり、引き続き聖域なき徹底した見直しを推進するとともに、地方においても国の取組と基調を合わせて進めるとしています。

 本市におきましては、税収において法人税率の引き下げによる大幅な減収が懸念されましたが、近年の企業立地件数に見られるような活発な経済活動等の影響もあり、前年度比で0.5%の減に抑えることができました。地方交付税は合併特例措置が終了し一本算定となりましたが、幼児教育・保育の無償化に係る経費の算入や、地方法人課税の偏在是正措置による財源を活用した新たな事業費の創設などにより、前年度比3.0%の増となりました。このほか、消費税率引き上げによる地方消費税交付金の大幅な増額などもあり、一般財源総額は前年度を上回る額を確保できました。しかしながら、自主財源比率はおよそ34%であり依然として国に依存した財政体質であることや、少子高齢化による社会保障費の増加、施設の老朽化対策など歳出面での増加が見込まれることから、今後も国の動向を注視するとともに、更に健全な財政運営に留意していく必要があります。
 このような中、「2020年度中津市政推進の基本指針」においては、これまで進めてきた暮らし満足向上のための施策が、住民にとって身近で効果が実感できるものとなり、また、中津市が圏域の拠点として人や企業を惹き付ける「磁力」を持ったまちとなるような視点を織り込んだほか、施策の推進に当たっては現場主義に立った上で、困難な課題を克服していく政策志向の組織体制を構築していくことも踏まえ、令和初となる当初予算編成にあたりました。
 以上のような考えでまとめた令和2年度一般会計当初予算の規模は、対前年比で1.2%減の415億5,635万3千円となりました。先に述べました令和元年度第6号補正予算における前倒し額を合わせると約421億円となり、実質的には前年度当初予算額を上回る規模となっています。

 以下、予算案について、概要をご説明申し上げます。

 まず、歳入予算の市税及び地方交付税につきましては、先程申しましたとおり、市税では対前年度比で0.5%の減、地方交付税では3.0%の増を見込んでおります。起債の発行額につきましては、対前年度比6.9%の減となり、借入金の着実な償還とあわせ、令和2年度末起債残高は減少する見込みです。

 次に、歳出につきましては、「なかつ安心・元気・未来プラン2017」の施策の大綱となる「安心づくり」「元気づくり」「未来づくり」の3つの柱に沿った新規・拡充施策を中心に、ご説明申し上げます。

 1つ目の柱、「安心づくり」です。

 まず、「災害に強いまち・災害に強い地域づくり」についてです。
 近年、全国的に自然災害が多発し、かつ大規模化しております。こうした被害から市民の生命を守るとともに、財産や公共施設等の被害を最小限に抑え、迅速な復旧復興を図るため、国土強靭化地域計画の策定を行います。また避難所の機能強化として、パーテーションやアルミ製ベッド、宗教に配慮した備蓄非常食の配備を行います。このほか、重点的に取り組んできました情報伝達手段の多重化に関しましては、WEB版ハザードマップの多言語化に加え、防災情報をLINEで配信するシステムを整備するなど、さらに充実させてまいります。

 次に、「中津市版地域包括ケアシステムの構築」についてです。
 高齢者が可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしが続けられる仕組みを、あらゆる主体と連携しながら構築していきます。主な施策としましては、地域住民が行う生活支援や介護予防サービスの充実を図るため、組織作りを支援するコーディネーターの配置を拡充するほか、在宅医療や介護に関わる様々な職種の方々が、高齢者の心身の状況をICTを活用して共有することができるシステムの試験運用を行います。

 次に「データに基づく健康づくり」についてです。
 中津市は県内でもがん検診などの受診率が低い状況が続いています。こうした状況を改善するため、休日健診の拡大や問診票の事前送付、対象者の特性に応じた勧奨など、あらゆる手段を使って市民の健康に関する意識を高めてまいります。

 次に「みんなが子育てしたくなるまちづくり」についてです。
 中津市は、これまでも子どもの発達段階に応じたきめ細かな支援策を充実させてきましたが、2020年も子育て世帯をより一層応援していくための施策パッケージとして「子育て2020(フレーフレー)プロジェクト」と銘打って展開してまいります。
 まず出産前においては、初めて子どもを持つ夫婦を対象とした「ママパパクラス」の開催回数を増やし、初めての出産に対する不安感を解消します。
 また出産後においては、日々の子育てに不安や負担を抱える母親の心理的な支援や育児指導を行う「産後ケア」事業を新たに始めます。
 就学児童にかかる支援としましては、大分県中津総合庁舎の一部を借り、長期休業期間や放課後の児童の居場所づくりを充実させます。
 屋外の遊び場の整備につきましては、現在、ダイハツ九州スポーツパーク大貞に設置した、主に6歳から12歳を対象とした複合遊具が大変好評をいただいており、今度は主に3歳から6歳を対象とした複合遊具や、高齢者を対象としたストレッチ運動ができる健康器具などを米山公園に整備します。
 このほか、子育てと仕事の両立支援として、「子の看護休暇制度」を導入した中小企業に対する支援金の給付制度を新設します。
 今後も子育て世帯のニーズに応じたきめ細かなサービスを充実させ、みんなが子育てしたくなるまちづくりを進めてまいります。

 次に「誰もが生き生きと暮らせるまちづくり」についてです。
 障がいのある方が住みなれた地域で安心して暮らし続けていくための取り組みとして、手話や要約筆記などの講習会を開催し、ボランティア育成に努めていますが、障がいに関する理解をより市民に広めるため、新たに事業所向けの手話教室を開催いたします。また、特別な支援を要する子どもを受け入れている保育所等に対する給付費について、給付額の増額や補助要件の緩和を行います。
 高齢者の生きがい作りにつきましては、現在市内全域で41団体が活動しています「元気!いきいき☆週一体操」について、新たな活動団体の立上げを進めるとともに、活動中の団体についても講師派遣回数を増やすなど活動の継続を支援していきます。

 次に「安心で繋ぐ地域づくり」についてです。
 人口減少により従来からの活動に支障が生じている地域において、自主性を損なわず様々な地域活動が継続できるよう支援するため、田舎困りごとサポーターを配置していますが、引き続き各支所3名体制を維持し、中山間地域の不安感の低減に努めます。
 また、今まで支援の対象となりにくかった「引きこもり」問題について、引きこもりによる生活困窮者に対する相談対応やサロン活動を行い、早期の自立を図るための事業に取り組みます。

 次に「地域の拠点施設確保」についてです。
 旧下毛地域の公共施設について、地域の拠点として防災機能や地域コミュニティの維持活性化に必要な機能を維持しつつ、「公共施設管理プラン」の方針に沿って整備していきます。令和2年度は、三光公民館を福祉保健センターと複合化して整備するほか、西谷地区公民館については、避難所や地域交流の場としての機能を確保しつつ、適正規模で整備を行っていきます。

 続きまして2つ目の柱、「元気づくり」です。

 まず、「中小企業の人材確保と振興」と「若者や女性が働きたいまち」についてです。
 中小企業の人材不足解消及び技術力向上に対する支援に加え、外国人就労者の雇用環境の整備や、地域との共生を推進します。主な施策としましては、引き続き、有資格の求職者と企業のマッチングを図る人材バンクの運営、勤労者資格取得支援、女性起業家を支援する交流会や、創業者の創出・支援情報の提供を目的としたセミナーを開催します。
 また、近年増加している外国人就労者に関する支援として、就労者に対する日本語講座に加え、受け入れ事業所に対する外国語講座をそれぞれ開催し、地域との共生を推進します。
 このほか、企業のニーズを把握するためのアンケート調査を予定しており、調査結果を今後の施策展開に生かしてまいります。

 次に「企業立地の促進と生産性向上への支援」についてです。
 人口減少の抑制や若者の雇用の確保、地域経済の活性化に大きく貢献する企業立地について、近年好調な投資が続いています。この影響が製造業以外にも波及しており、市民が熱望していた映画館がいよいよ3月オープンいたします。こうした都市としての魅力を高める施設の整備については、企業立地と同様の効果をもたらすことから、市としても支援を行います。

 次に「農林水産業における担い手育成と収益性向上」についてです。
 中津市では農・林・水・畜産業がそれぞれ営まれており、各産業において担い手の確保や生産性の向上、高付加価値化をすすめ、持続可能なものとなるよう努めます。
 農業においては、労働力不足を補うため、農業未経験者も安心して登録できる人材バンクを創設するほか、収益性の高い野菜を生産するため、水田の畑地化を支援します。
 林業においては、森林環境譲与税を活用し、担い手の育成・確保や森林の適正管理にかかる取り組みを充実させます。
 水産業においては、水産物の流通体制確保のため、魚市場再開を支援するほか、カキ・アサリ・ハモ等の水産物ブランド化及び販路拡大に努めます。
 畜産業においては、家畜伝染病予防のための施設整備費を助成する新たな制度を設けます。

 次に「山国川上下流域を結ぶ観光振興」についてです。
 今年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されることから、インバウンド対策として多言語パンフレットや地域通訳案内士など「おもてなし」にかかる事業に取り組みます。
 サイクリングロードの活用については、県内他市との広域連携を図るためのマップ作成を行います。
 日本遺産の推進については、国庫補助金の対象期間である3年は終了しましたが、玖珠町と設置した協議会は存続させ、地域ブランドの確立や日本遺産を活用した地域活動の支援に取り組んでまいります。
 ハード事業では、中津日田高規格道路青の洞門・羅漢寺インターの完成に合わせて、道の駅耶馬トピア駐車場の整備を行います。

 次に「定住に向けた移住戦略」についてです。
 現在、空き家バンクに登録している住宅の改修費用を助成しておりますが、「建て替え」の場合も対象とするよう制度を拡充し、定住者の確保に努めます。

 次に「公民連携・政策連携によるにぎわいづくり」についてです。
 人口減少と高齢化を踏まえ、中心市街地において公共施設の再配置や民間機能の誘導を図るため、立地適正化計画の策定に着手します。
 また、商店街のにぎわいづくり支援としまして、商店街自らが考え、実践する活性化イベントの取り組みを引き続き支援します。

 次に「ふれあい親しむ文化・スポーツ環境」についてです。
 一昨年、大分県で開催された国民文化祭のレガシーを継ぐ文化イベントを行います。前回に続き「灯り」をテーマとしたものや、新しくオープンした歴史博物館と連携した企画展、障がい者作品展など、多くの市民が参加できるものとなるよう検討を進めています。
 また、スポーツ環境では、東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンとしてオリンピアン等による講演会やスポーツ教室を開催し、市民への機運の醸成を図ります。

 最後に3つ目の柱、「未来づくり」です。

 まず「子どもの可能性を拡げる教育」についてです。
 「知・徳・体」のバランスの取れた人材育成を目指す上で、学力向上を優先課題と捉え対策を進めてまいりましたが、そうした取り組みに加え、教員の働き方改革を一層推進していくため、部活動指導専門員やスクールサポートスタッフの増員を図ります。また、小・中学校と幼稚園にタイムレコーダーを設置し、働き方改革をより実効性のあるものにします。
 ふるさと学習につきましては、従来行っている「学びんぴっく」や「子どもまちづくりラボ」に加え、新たに小学校3~6年生向けの社会科副読本を作成するほか、中学生を対象とした福澤諭吉検定を開始するなど、充実させます。
 さらに、課外に基礎学力を定着させる学び直しの場として取り組んでいる「学びのススメ土曜塾」について、実施箇所を5箇所から8箇所に拡大し、市内全域から参加しやすい環境を整備します。

 次に「地域で活躍する人材の育成」についてです。
 旧下毛地域で唯一の高校であり、常に地域と共に歩んできた中津南高校耶馬溪校を今後も存続させるべく、同校へ通学する際の通学費支援を行います。
 また、8月に開設した新中津市学校において、福澤諭吉・小幡篤次郎ゆかりの地として慶應義塾との共同研究を進めていくほか、「学びたい教育のまち中津」の人的・文化的拠点として、市民講座の開催や学習スペースの提供を行います。

 次に「環境共生都市なかつの推進」についてです。
 他市と比較して取り組みが遅れているごみの減量化やリサイクルなど環境施策を加速させるため、ごみの分別収集をより細分化していき、8月よりペットボトルの単独回収を始めるほか、市民に対する分別意識醸成のため、市内の各種イベントでの啓発活動を充実させます。
 また、稼動後20年を経過したクリーンプラザについて、設備の劣化に伴い低下した処理能力の回復と延命化を図るため、今後3年間をかけて長寿命化事業を行います。

 次に「命を守りくらしを支える交通網の整備」についてです。
 道路は市民生活や経済活動に欠かせない重要なインフラであり、市の将来計画や地元要望を踏まえ、計画的に整備を行っているところです。
 中でも通学児童の安全確保は重要であり、関係機関と協議を行い、危険度の高い場所から順次整備を行ってまいります。

 次に「公共交通対策の新たな枠組みの検討」についてです。
 現在、民間路線バスが撤退した路線を中心に、市民ニーズを踏まえたコミュニティバスの運行を行っております。令和2年度は、「豊前・中津線」において、新たに定住自立圏形成協定を締結した吉富町を経由するよう路線変更を行うほか、本耶馬渓町の西谷と東谷を結ぶコースでの試験運行を行います。

 最後に、「中心市街地における「学び」と「交流」を生むまちづくり」についてです。
 中津城周辺エリアにおいて、「村上記念童心館」、「新中津市学校」、「中津市歴史博物館」を開設し、既存の施設も合わせ充実した文教エリアが形成されました。各施設の特徴を活かし、幅広い年代、さまざまな分野での学びや活動の機会創出と、そこに人が集い、交流が生まれることによる活気あるまちづくりを公民連携で推進してまいります。

 債務負担行為につきましては、議会だより印刷業務外8件を計上しています。

 引き続きまして、各特別会計の予算についてご説明申し上げます。
 議第12号令和2年度中津市国民健康保険事業特別会計予算から議第22号令和2年度中津市下水道事業会計予算につきましては、それぞれの事業の動向を見込んだ所要経費などを予算措置しています。

 次に、予算外議案のうち主なものについて、その概要をご説明申し上げます。

 議第27号中津市執行機関の附属機関の設置等に関する条例の一部改正につきましては、中津市国土強靭化地域計画の策定にあたり、中津市国土強靭化地域計画有識者会議を設置し、もって学識経験者等から幅広く意見を聴取するため、条例を改正するものです。
 議第29号中津市営住宅の設置及び管理に関する条例等の一部改正につきましては、民法の一部改正に伴い、市営住宅に係る手続等の見直しを行い、もって入居者の負担軽減及び市営住宅の安定した管理運用を図るため、条例を改正するものです。
 議第32号中津市放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正につきましては、国が定める基準の改正に伴う放課後児童支援員の資格認定実施者の拡大並びに当市の事業における設備、職員及び児童数の基準に係る経過措置の延長により待機児童の解消を図るため、条例を改正するものです。
 このほかにも、市条例の一部改正案などを提出していますので、それぞれにつきましては、ご審議いただく折に詳しくご説明申し上げます。

 議員各位におかれましては、何卒慎重にご審議の上、ご賛同賜りますようお願い申し上げて、提案理由の説明を終わらせていただきます。

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