市長コラム~つなぐ~ 日本一耶馬渓橋

公開日 2022年07月11日

 本耶馬渓町の青の洞門川下に「耶馬渓橋」があります。現存する長さ日本1位の石造り8連アーチ橋、今年、国の「重要文化財」に指定されます。
 指定理由の一つは、我が国最初期の「観光道路施設」だということです。実は、明治27年、青の洞門のある競秀峰一帯の土地が売りに出され、開発され景観が損なわれる心配がありました。私財を投じて購入し、ここを守ったのが福澤諭吉、我が国における自然保護・環境保全の先駆けです。競秀峰の断崖と青の洞門の絶景は、菊池寛など文人画人に愛され、多くの観光客が訪れる名所になります。大正期、山国川を渡り、この風景を対岸から眺め楽しめるようにしたのが、この石橋なのです。
 さらに、豪雨災害に何度も見舞われ修理はしましたが、洪水に耐え地域交通を支え続けてきた100年の歴史も高く評価されました。九州には、石材の加工技術が発達し、橋架け専門の石工集団が活躍したと言います。卓越した技術を持つ石工たちが建設する耶馬渓橋の写真が残っており、渡り初めは2基の神輿が出て大勢で祝っています。地元では「オランダ橋」とも呼ばれ、今でも生活道路としても重要な役割を果たしています。
 6月初旬、重要文化財指定の記念式典を実施、禅海太鼓の演奏を皮切りに、参加者全員で喜び合いました。地元八千代保育園の子ども達も、お祝いのくす玉割に参加、ふるさとの宝物として心に刻まれていくのではないでしょうか。
 さらにふるさと自慢、山国川には、日本で長さ第3位の羅漢寺橋、第4位の馬溪橋も架かっています。他の多くの石橋も、耶馬渓の自然景観にマッチし、美しく風情があり、心を和ませ、旅情を深めます。来年は名勝耶馬渓指定100周年、「日本遺産~やばけい遊覧の地、中津」を強烈にアピールしていきます。

耶馬渓橋
耶馬渓橋

(市報なかつ令和4年7月15日号掲載)

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