公開日 2025年09月03日
令和7年第3回定例市議会の開会にあたりまして、行政報告等を行います。
まず初めに、災害に強い安全なまちづくりについてです。
8月9日から降雨が続き、翌10日には線状降水帯発生のおそれ及び土砂災害の危険性が高まったことから、同日午後5時に三光地域、本耶馬渓地域、耶馬溪地域、山国地域の5,907世帯に対し、「警戒レベル3 高齢者等避難」を発令するとともに、これらの地域にある20か所の避難所を開設しました。午後6時には、警戒レベル4の避難指示を発令しました。
翌11日の午後6時に土砂災害警戒情報が解除されたため、避難所も同時刻をもって閉鎖しました。今回の大雨による市内での人的被害はありませんでした。
一方、7月29日から市民の皆様に自主節水のお願いをするなどしていた渇水の状況については、今回の降雨により耶馬渓ダムの貯水率が90パーセント以上まで回復したことにより、解消されました。
また、猛暑の影響により、連日熱中症警戒アラートが県内に発表されています。こまめな水分補給や炎天下での外出を控えるなど、適切な対策を呼びかけてまいります。
7月28日には、公益財団法人B&G財団の支援金を活用した防災倉庫の設置やトイレカー・油圧ショベルなどの資機材配備が完了したことから、同団体と「防災拠点の設置および災害時相互支援体制構築」にかかる協定を締結しました。
また、8月30日から1泊2日の日程で、耶馬溪B&G海洋センター(やばすぽ)にて、なかつジュニア防災リーダー養成研修を行いました。20名の児童が、備蓄食料の試食やパーテーションを使った避難所宿泊などを体験しながら、楽しく学びました。
今後も、災害時の相互支援体制の強化と幅広い人材育成に取り組んでまいります。
次に、男女共同参画社会の実現に向けた取組についてです。
6月23日から29日までの男女共同参画週間にちなみ、6月28日に啓発標語の優秀作品の表彰を行うとともに、記念講演を行いました。
今回の講演会では、東京大学大学院総合文化研究科教授の瀬地山角さんを講師としてお迎えし、「笑って考えよう家庭のこと、仕事のこと、未来のこと」と題して、男性の積極的な家事・育児への参画や、男性と女性が共に生きやすい新しい社会の構築についてご講演いただきました。
次に、企業誘致の推進についてです。
6月以降、2件の立地表明がありました。
株式会社アースコーポレーションは、ふるさと納税支援や地域ブランディングなどの事業を行っており、令和7年度から中津市のふるさと納税業務を支援するため、市内に拠点を整備いたしました。雇用者数5名、令和7年6月から操業しています。
吉浦運送株式会社は、一般貨物取扱及び運送、自動車陸送などを行っており、更なる受注拡大に対応することを目的として増設します。投資額8億1千万円、雇用者数20人、令和10年4月の操業開始予定です。
次に、観光の振興についてです。
中津市出身の作家、芥川なお氏のデビュー作である純愛小説『ストロベリームーン』が実写映画化され、10月から公開されることを受け、本小説の舞台である中津市への観光誘客の促進と映画のPRを目的に、6月4日からJR中津駅構内にストロベリームーンのモニュメントを展示しています。
また、8月1日には、国土交通省へ申請していた「山国川中流地区かわまちづくり計画」が登録されました。中津市では、すでに吉富町、上毛町とともに申請した山国川下流地区の計画が登録され、整備が進められていますが、今回新たに中流地区の登録を受けたことで、三光地域から耶馬溪柿坂地区までの区間を対象に、管理用道路や階段、案内看板などの整備を進めていきます。この整備を通じて、山国川とサイクリングロード、観光スポットなどを融合させ、地域交流の場を創出するとともに、観光客の滞在時間延長につなげていきます。
次に、移住・定住の促進についてです。
中津南高等学校耶馬溪校では、令和8年度入試から新入生の全国募集を開始します。同校と地域との絆を育み、地域の担い手づくりや地元就職、UIターン、関係人口の創出、移住定住につなげるため、大分県と協働して取組を進めており、市では学生寮の整備や生活面の支援を行っていきます。
次に、スポーツの振興についてです。
7月12日、中津市と包括連携協定を締結している明治安田生命保険相互会社が、三光総合運動公園でサッカー教室を開催しました。約40名の小学生が参加し、大分トリニータサッカースクールのコーチから直々に指導を受けました。
また8月10日には、パリオリンピックのバスケットボール女子代表ヘッドコーチを務め、「なかつ応援サポーター」でもある恩塚亨氏によるバスケットボール教室を、ダイハツ九州アリーナで開催しました。地元の小中学生約120名が参加しました。
次に、環境の保全についてです。
6月25日、NPO法人水辺に遊ぶ会が保全活動を行っている「尾無の湿地」と「中津干潟(舞手川河口湿地)」が、環境省の自然共生サイトに認定された旨の報告をいただきました。両地域は、いずれも令和6年度に自然共生サイトに認定され、「尾無の湿地」は中津市の天然記念物であるベッコウトンボの貴重な生息地に、「中津干潟(舞手川河口湿地)」はカブトガニをはじめとする希少生物の宝庫になっています。
自然共生サイトは、民間の取組等によって生物多様性が図られている区域を環境省が認定する制度で、令和6年度末までに大分県内で7か所が認定されており、そのうち2か所が中津市内にあります。
次に、学びの里なかつの推進についてです。
6月7日、「福澤先生と中津を歩こう!?やさしいまち歩きマップ?」の完成お披露目イベントを開催しました。このマップは、中津ライオンズクラブからの寄附金を活用して製作したもので、スマートフォンやタブレットを使用して、中津市内の現代のまちなみと幕末のまちなみを簡単に見比べることができるデジタルマップです。小学生など34名が参加し、実際にマップを使用しながら城下町を散策しました。
6月11日には、中津南高等学校において「神戸大学出前講義」を開催しました。この出前講義は、平成28年度に中津市と神戸大学が締結した連携協定の一環として市内高校生を対象に開催しており、今回は神戸大学大学院農学研究科特命助教の安部梨杏先生をお招きし、「農村における地域づくりや人づくり」をテーマに、講義を行っていただきました。
6月30日には、慶應義塾大学日吉キャンパスで、同大学福澤研究センターが設置する科目である「近代日本と福沢諭吉I」の授業において、私がゲストスピーカーとして登壇し、約300名の学生に講義を行いました。「不滅の福澤と学びの里中津」と題し、福澤先生・慶應義塾と中津市との関係、不滅の福澤プロジェクトによる取組実績、今後の学びの里づくりについてお話しすることにより、福澤先生の故郷である中津の魅力をPRすることができました。
次に、あらゆる主体との連携についてです。
遊休不動産の利活用の取組について、昨年締結した協定に基づき、株式会社KLCが展開する不動産マッチングサービスを積極的に活用し、令和7年1月に山国地区の約9,700平方メートルの山林、6月には山国地区の旧消防団詰所、耶馬溪地区のペンション森の家について、それぞれ売買契約が成立しました。また、令和3年に用途廃止された旧雇用促進住宅については、一般競争入札による公売手続きを進めており、今後も遊休不動産の積極的な利活用を推進してまいります。
このほか、安東技研株式会社と株式会社KOTANIから、企業版ふるさと納税の制度を活用した寄附をいただきました。いただいた寄附については、学びの里なかつ推進に向けた取組に活用してまいります。
次に、平和に向けた取組についてです。
今年は、昭和20年8月の終戦から80年を迎える節目の年であることから、非核平和に向けた取組を行っています。
7月12日から9月15日にかけて、歴史博物館にて『戦後80年 戦争の記憶』のテーマ展示を開催しています。中津市は大規模空襲がなかったことから、戦時資料が比較的多く残されており、市民から寄贈された当時の資料を中心に約60点を展示することにより、人々がどのように戦中・戦後を生きたのかという戦争の記憶を辿ることのできるものとなっています。
さらに、8月1日から15日までの間、市役所1階市民ホールにて、「平和首長会議原爆ポスター」と「高校生が描いた原爆の絵」の展示を行いました。
また、東九州龍谷高等学校2年生の内川桃花さんが、核兵器廃絶を訴える高校生平和大使に選出されるなど、中津市内においても新しい世代への継承が行われています。
以上をもちまして、報告を終わります。
議員の皆様方におかれましては、今後ともご指導ご協力いただきますようお願い申し上げます。