公開日 2025年10月22日
「人生100年時代」と言われます。国内最高齢者、廣安美代子さんは明治生まれの114歳、本当にお元気でした。最初にお会いした時すでに106歳、本を読み、絵を描き、新聞を読み時事問題を語る、会話もウイットに富んでおり、本当に驚きました。以来毎年どんな話が聞けるか楽しみでした。私の歳が40歳以上も下と知ると、「お若い、市民のために頑張って」と逆に激励される始末です。今年の7月に他界、何とも見事な人生、元気と勇気をいただきました。
私事ですが、私の曾祖母は99歳で他界。江戸時代慶応4年生まれで当時としては相当の長寿、私は小学生で4世代同居世帯、10年一緒に生活しました。近所の若い女性に裁縫を教えるなど意気軒昂。90歳を超えた媼の健在ぶりは驚くばかりで、遊び盛りのひ孫にとっては、まるで同年の子どものような感覚でした。
ところで現在、日本人の平均寿命は男約81歳、女約87歳で、中津には百歳以上の方が約70人います。百歳の誕生日を迎えた方のお祝いに伺う「百歳訪問」、今までに181人の方にお会いしました。どの方にも共通しているのは、戦争を体験し苦難を経験していること。シベリアで抑留され寒さと飢餓のため多くの仲間を亡くした方は平和の大切さと自分の幸運を語ります。つい最近まで畑で野菜作りをしていた方、大好きな歌を披露してくれる方、IT時代の流れに遅れることなくスマホで遠隔地の御子息と映像を見ながら連絡を取り合う方もいます。多くの方が家族や周りの方への感謝を口にします。
大正・昭和・平成・令和を生き抜いた百年の経験談は貴重です。日本の復興と高度成長を支えた皆さんのたゆまない頑張り、清貧な心、現代の豊かな食への感謝など我々が学ばねばならないこともたくさんあります。百歳の重みですね。
(市報なかつ令和7年11月号掲載)




